─ Alice ?─



心地いい風が、髪を撫でる。


ふわりと香る花の匂いに顔が綻ぶ。


オレンジ ピンク 黄色 様々な色の秋桜たちは何も主張することなくただ咲き乱れている。



「秋桜って何色あるのかしら?」

「知らねえよ。興味無い。」


たわいもない会話は続く。



「じゃあ、何色あるか数えてみようよ。」

「…面倒くさい。」


頭を掻きながら、如何にも面倒くさそうな素振りをする。



「チェシャ猫はあっち。私はこっちから数えてみるからっ!」


一方的に吐き捨て、色を数え始める。


乗り気じゃないチェシャ猫だが、言ってしまえばこちらのもの。仕方無さそうにオレンジ ピンク…と数え始める。




「黄色…薄紫…赤紫………赤…







……………………赤?」




秋桜に赤なんてあったかしら?


不思議に思いながら秋桜を摘み取る。


「…採れない。」

根が深いのかな。なかなか摘み取ることができない。



「んーっ………ぅあっ!!!!」





    ブチブチブチ 。



不気味な音を立て、引き抜けた秋桜の根を見て言葉を失った。




赤く美しい秋桜


根本も赤く、艶めいていて





【 紅 】く美しい血が滴り落ちていた。


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