─ Alice ?─




真っ赤な血が脳裏に焼きつく。



あまりの衝撃に、赤く滴る血から目が離せない。




「っ………血、赤い…血?なんで…、血が…秋桜から、血がっ…」



怖いのに、目が離せない。


恐ろしいのに、手はしっかりと秋桜を握り締めていた。




     ポタ  ポタ



滴る血が、ドレスを汚す。



    ポタ    ポタ ポタ



まるで生きていたかのように、血は流れ、止まらない。




ドレスはみるみるうちに赤く染まり、掌は血にまみれていた。



「赤っ……血がっ……あ、あぁあっ…止まら、ない…止まらないっ──!!」



地面に秋桜を投げつけ、その場から逃げ出す。


頭の中には血の映像。


赤く染まるドレス
     真っ赤な掌

止まらない 血液  血 血 血 怖い   なのに




何故これほどまでに美しいのか



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