─ Alice ?─
走っても 走っても
追い付くことなど出来なくて
けれどただ、ただひたすら黒兎さんを追いかけた。
「あれ?ありすだ。」
「本当だ。ありすだ。なんでこっちにいるんだ?」
「ありすはありすだ。どうでもいいよ。」
「そうだね。ありすがどこにいようとどうでもいいよね。」
住人たちの冷ややかな声に、胸が痛む
もう、私を追いかけてこない
私のことを必要としてくれない
「次のアリスはいつ来るんだろう?」
「さあ?いつ来るんだろう。」
新しいアリスを心待ちにする住人たちは、アリスだった私にはもう興味なんて無い
「………ありす。何故ここにいる?」
一層冷ややかな声をかけてきたのは、爬虫類を思わせる男性だった。
「……ぁ。」
思わず足が止まる。
荒い息遣いのせいか、心臓はバクバクと跳ね上がる。
「裁判は終わった。お前はもうこの国にいる必要は無い。」
無表情の彼は怒っているのか、心配しているのか全く分からなかった。
「私……アリスに戻りたい。」