─ Alice ?─
………


黒兎さんはどこにいるの?


走っても 走ってもどこにも見当たらない。

どんなに周りを見渡しても、黒兎さんはいない。



どうやって探すの?どうやって捕まえるの?


全くわからないまま、焦りだけが募る。



        カ ツ





微かに聞こえた 音



靴?石?何かがぶつかったようなかすれたような微かな 音 。





「…………お兄さん、どこ?」



お兄さん。お兄さん。大好きだった黒兎お兄さん。



ありすはここだよ?ひとりぼっちで寂しいよ。



走り疲れて、その場にしゃがみ込む。



「黒兎お兄さん。……ありすは、どうすれば…──。」






──   カ シ ャ ン  !



顔をあげると、離れた木陰から此方を見つめる黒兎さんがいた。



「「あっ………!」」




一瞬、黒兎さんは躊躇った。




「黒兎さ……」


私の言葉を聞かず、踵を返し勢いよく走り去っていく。




「黒兎さんっ…待って!!」





まだまだ追いかけっこは始まったばかり。
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