─ Alice ?─
「お前が決めろ。」
私を見つめ、チェシャ猫は言い放つ。
「えっ…何を……─」
「この国を救うか。滅ぼすか。選択肢はそれだけだ。」
「騙されないで。僕のありす。救う為には犠牲がつきもの。君はその犠牲を払うことができるのかい?」
犠牲。それが何を差しているのか分からなかった。
「お前は、何のためにここまで来た。何のために、血を流し、涙を流し、沢山の命を見てきた?お前が再びこの国に来た目的を忘れたのか?」
私が、この国に再び来た理由
チェシャ猫が迎えにきた
理由は 何だったかしら
愛されるため なんかじゃないわ
愛するため でもなかった
国を滅ぼすため でもない
でも救うため でもなかった
私が来た理由は?
白兎さんに 言われたじゃない
再びアリスになったとき、この国に招待するって。
ありすはアリスになって 戻ってきたのに また ありすになった
欲が支配したから
欲が溢れる前、私は何をしようとしていた?
この国に来た理由
「───を助けて欲しいんだ。」
私の最初の目的は
「黒兎さんを救うこと。」
お兄さん。大好きだったお兄さん。
貴方を救うことが、私の目的。
欲ばかり溢れ出てしまって 忘れていたわ。
「正解だ。黒兎を、救って欲しいんだ。アリス。」