─ Alice ?─
「分かった。返す。
だからアリスを一刻も早く助けてくれ。」
俺はすぐさまそう答えた。
アリス、お前をずっと守ってあげたかった。
ずっと傍にいたかった。
でも、
無理、みたいだ。
俺はアリスを《 導く 》猫。
アリスに忠実な 猫 なんだ。
アリスが無事ならそれでいい。
それだけで、 いい。
『やけに素直。珍しいね。
そんなにアリスのこと ス キ なの?
フフフ♪
まあいいや。
じゃ、役剥奪ー♪』
パアアアッと辺りが
光に包まれる。
そして近くで
チリン、
と鈴の音がした。
俺の首には
金色に輝く
鈴の首輪。
もう、外れることのない
逆らうことも許されない
束縛 の 首輪。
『君は今日からアリスの
《 忠実な 猫 》に戻るんだよ。』
フフフ♪と嬉しそうに笑う白兎の顔が一瞬歪んだのを俺は見逃さなかった。