リヴァイサル~記憶の旅~
「ねぇ……鞘は?」
そう、この剣には鞘がなかったのだ。
レッジから渡されたときも、この剣には鞘が付いていなかった。
「あぁ…鞘?」
レッジは困ったように頭をかいていった。
「ないから適当に作れ。」
「はっはっは」をまた豪快に笑い始めたレッジを見てキンはため息をついた。
「鞘がなしでどうやって持ち歩くのよ。
危なくてしょうがないでしょ。」
「布かなんか巻いとけばいいだろ。」
「いざ戦うときに剣が抜きにくいわ。」
「他の剣の鞘に入れればいいんじゃないか?」
「形が合わなかったら入らないじゃない。」
「どっかにその剣と同じ形の鞘があると思うぜ?」
「じゃぁ、探してきてよ。」
「自分で行けよ。」
「作ったものの不備は作った人が責任とって直すものでしょ?」
「………。」
反論できなくなったレッジは不満そうな顔でジッと剣を見た後、クルッと踵を返して家に戻ってしまった。