リヴァイサル~記憶の旅~
「えっ……?」
消えてしまいそうな声でもキンの耳にはしっかり届いていた。
キンは驚きを隠せないようだった。
レッジも目を丸くしている。
「記憶が………ないんだ……」
青年は呻くように言った。
「自分が…どこにいたかも…どこで育ったかも……名前も…親の顔も………誕生日も………
全部、わからないんだ……」
「思い出そうとすると…頭が割れるように痛むんだ……」
そういって顔をあげた青年の漆黒の目は少し潤んでいた。
そんな青年の表情になぜかキンの胸はドクンと音を立てた。
「あ〜…そうなんだ…
ごめんね、辛いこと聞いて…」
キンは気持ちを包み隠して、言った。
青年は黙って首を横に振った。