リヴァイサル~記憶の旅~
リーナの表情は複雑だった。
怒りとも悲しみとも戸惑いとも取れる表情。
キンは黙ってリーナを見つめた。
リーナは自分を落ち着かせるように息を吐いて言った。
「…なんのために?」
そうキンに問うリーナの声はいつものような優しさがなかった。
「えっと…大陸を見て回りたいから…。」
キンは必死に頭を回転させて、うまい言い訳を考えた。
なんとなくホントのことを言ってはいけない気がしたのだ。
「今すぐじゃなきゃダメなの?」
リーナの有無を言わさない口調にキンは戸惑いながらも頷いた。
「ほ、ほら…可愛い子には旅をさせよ、て言うでしょ?
それに、鉄は熱いうちに打て、ていうし…。」
キンは意味不明な理由を並べている自分に悲しくなった。
旅には行きたい。
せっかくレッジに勝ったのだから。
でもリーナに反対されては旅に行けない。
キンは不安で胸の鼓動がはげしくなっていた。