うぃっしゅ・ふぇてぃっしゅ!!
「ま、これも視聴率を稼ぐためや。ワシらも一肌脱ごうやないの」

「あの、あんまり生々しい話しないでもらえません?」

「なんや、祐希ー。自分がゼニ稼げてんのはこの番組の視聴率が高いからってのも一端なんやでー?分かったらしっかり割り切って仕事に集中せんかい」

僕はこういうところが「甘い」とか言われちゃうのでしょうか。
理亜さんは芸能生活が長いからか、色々なことを『割り切れ』とは言うのですが、そんなこと、僕にはとても難しい。
…少しずつでも。
慣れていけたら、いいな。

「頑張ろう、祐希君」

「…っ。はっ、はい!!頑張りましょうね、澄さん!!」

「…祐希ったら澄の言うことは結構従順に聞くわよね。私の言うこともたまにはちゃんと聞きなさいよー」

「ふ、ふぁい!」

「…ふ。その気合、それでこそ調教し甲斐があるというものだわ」

せっかく澄さんに話しかけられて有頂天になっていたのに、一気に紗雪さんに奈落の底に突き落とされた。…しかも最後めちゃくちゃ怖いことを言っていた気がするのだが、気のせいだろうか・・・。

「では、一週間後に取材しますので、この書類きちんと読んで置いてくださいねー」

ふわふわした笑顔を振りまきながら、楠木さんはその一声で会議を終了させた。


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