午前二時のレモンティー
僕は。
ねえ、優しいってダメなの?

彼は私にそう言った。
ひどく真面目な顔をしていた。

「なんかさ、茉奈が、
 ――あ、オレ地元に彼女いるんだけど、
 とにかく、彼女が
『尚のことは信じてるけど、不安なの。
 尚はとても優しいから、
 それは時折あたしを不安にさせるのよ。
 あたしの醜さを露呈させるの』
って言ってて、
 オレその言葉の意味が分からんのだけど、
 どういうことなんかな?

 樫ちゃんはどう思う?」

ノロケと相談が入り混じったナオの言葉に、
私は苦笑を返した。

そんなの、女の自己陶酔だよ。
ナオはナオらしくいればいいんだよ。

講義室から見える空は、久しぶりの晴れ間だった。
洗濯物を干してきてよかった。

梅雨前線が停滞している日本列島は、
先週末から雨が続いていた。
それは私のいる千葉も例外ではなく。


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