サロン・ド・カトレア
へ
ようこそ
彼女の、その一言で
暗い店内は凍りついた。
苛立ちを抑えきれない
青ざめた横顔は
それでも、尚
美しい。
「この前、
依頼を受けたのは
いつだったかしら?」
光り輝く指先で
乱暴に煙草がもみ消される。
カウンターに
もう一つの人影。
坊主頭の
いかつい男は
その姿に、似合わない
猫なで声で
慌てて答える。
「えっとー。
去年の11月でしたから
半年前ですぅ」