サロン・ド・カトレア
へ
ようこそ
「糞坊主っっ!!
つべこべ言ってるヒマがあったら
客の一人や二人
捕まえて来んかい
ワレぇっ!!」
「ら、蘭子さんっ!!
地が、地が出てます!
声が、顔が
男モードになってますぅ」
坊主頭は
よ、よ、よ、と
泣き崩れた。
「あらん。
いやだ
私としたことが……」
蘭子、と呼ばれた
メデューサは
品良く揃えられた指先で口元を押さえると
肩をすくめて
ふふふと笑った。
「とにかくね
小雪ちゃん」
どう見ても
『小雪ちゃん』に
は程遠いが
坊主頭は名前を呼ばれたのが嬉しいのか
ぴしっと姿勢を正して
蘭子を見た。