×-カケル-
恋×友情-side 翔-
「終了!」
予鈴と共に教室に響いた数学のなんとかって奴の声。
あーあ
気持ち良く寝てたのに。
朝降っていた雨が嘘のような晴天。
雨水が光に反射して、キラキラ輝いている。
こんな日は、睡眠に限る。
俺は机に突っ伏していた体をゆっくり起こすと、手を天井に向け大きな伸びをした。
「寝てたでしょー」
一番後ろの席から答案用紙を回収しにきた梓(あずさ)が俺の頭を叩いた。
「うるせーな。眠いんだよ」
昨日の夜もたっぷり睡眠とったけどね。
もちろん勉強はしないで。
「ぶっさいくな顔してたよ」
「お前の席から俺の顔なんて見えねーじゃん」
あはは、と声に出して笑いながら梓は俺の机から解答用紙をさらりと取り、教卓に足を進めた。