×-カケル-


凍えた体を丸めて教室に入ると、参考書やら教科書やらを手にした奴らが最後の悪あがきをしていた。

「クリスマス楽しみだね」

机の横のフックにカバンを掛けると、ひょっこりと梓が俺の前に顔を出す。

「クリスマスって恋人たちにとっては大切な行事だろ?ヨシと2人で過ごせよ」

これって正論だろ?
俺は間違ってない。

梓は少し寂しそうにうつむいて、俺から視線を外した。

どうしてそんな顔をするんだよ。

俺は梓を悲しませたいわけじゃないんだ。

< 12 / 73 >

この作品をシェア

pagetop