×-カケル-


あとは、漫画や雑誌が山の用に積まれたテーブルと、薄汚れたソファーがあるだけだ。

まあ、要するにあれだ。
男女がここでイチャつくわけよ。

俺はそんな目的で使ったことはないけど。
たいがい昼寝に使ってるだけだ。

部室に入るなり、前に誰が使ったかもわからないソファーにゴロンと横になった。

染みの広がった見慣れた天井。

ダメだ。今日はやけに眠い。

目を開けていることさえしんどい。

早苗のことなんてお構いなしに、俺は目を瞑り眠りに落ちようとした。

「翔~」

返事をする間もなく、俺の唇に柔らかい何かが押し当てられた。

その感触に驚いて目を開けると、目を閉じて俺にキスをする早苗がいた。


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