×-カケル-


両親がちょうど旅行に行っている梓の家で行われるクリスマスパーティー。
早苗ももうすぐ現れる。

やべー。緊張する。

早苗と話すのは、あの部室での出来事以来だ。

別に避けてるわけじゃないけど、何となく話していない。



数分後、部屋にチャイム音が響いた。

パタパタとスリッパの音を立てながら梓が早苗を出迎える。

俺はグツグツと沸騰する鍋に、煮えにくい野菜から順番に入れること、と言われた梓の指示通り作業をしている。

「みんな、メリクリー」

早苗の明るい声が部屋に響き渡った。

俺は何も聞こえないふりをして、鍋を見つめたままだ。

< 24 / 73 >

この作品をシェア

pagetop