×-カケル-
両親がちょうど旅行に行っている梓の家で行われるクリスマスパーティー。
早苗ももうすぐ現れる。
やべー。緊張する。
早苗と話すのは、あの部室での出来事以来だ。
別に避けてるわけじゃないけど、何となく話していない。
数分後、部屋にチャイム音が響いた。
パタパタとスリッパの音を立てながら梓が早苗を出迎える。
俺はグツグツと沸騰する鍋に、煮えにくい野菜から順番に入れること、と言われた梓の指示通り作業をしている。
「みんな、メリクリー」
早苗の明るい声が部屋に響き渡った。
俺は何も聞こえないふりをして、鍋を見つめたままだ。