×-カケル-
あの頃俺たちは、何も考えていない無邪気な子供だった。
中学に入って、最初のうちは全然小学生のときと変わらなかった。
登下校も、もちろん3人一緒で。放課後はいつも一緒にいた。
だけど、中学3年に上がって少し経った頃、マンション前にそびえ立つソメイヨシノが散った頃かな。ヨシに言われたんだ。
「梓が好きだ」って。
ヨシの顔は今まで見たことがないくらい真剣で。
笑い飛ばしたりなんてもちろんできなくて。
ガツンと大きな衝撃を受けたのを覚えている。
ヨシはモテる。
頭は良いし、顔だって整っている。悔しいけれど、イケメンの部類に入る。
客観的に「ああ。お似合いだな」なんて思っちまったよ。