×-カケル-
それからしばらく悩み、あたしはヨシと付き合うことにした。
翔に“迷惑”だと思われていることが本当にショックで、これ以上翔を思うことをやめた。
自分の気持ちから逃げ出したのだ。
何よりヨシと付き合うことで、翔を忘れられるような気がした。
ヨシを利用していると言ったらそれまでだけど、「それでいい」と言ったのはヨシ本人だ。
けど、ひとつだけヨシと約束をした。
“翔を好きなことは秘密にする”。
あたしの気持ちを翔が知ったら、きっと気にしてしまうから。
意識して無視をするようになるだろうと、ヨシに言われた。
その通りだと思う。
そして何より、こんな中途半端な気持ちでヨシと付き合い始めたことを軽蔑するはずだ。
それだけはどうしても避けたかった。