×-カケル-
夢×思-side 梓-
ヨシと付き合い始めて2ヵ月が過ぎた。
この2ヵ月で、自分がどれだけヨシのことを知らなかったのか思い知らされた。
3人はいつも一緒にいたのに、あたしは翔のことばかり見ていたようだ。
つむじが2つあること。
緩いウェーブはパーマではなくて天然だったこと。
好きな食べ物も、嫌いな食べ物も知らなかった。
「梓、手繋いでいい?」
「あ、うん」
あまり表情には出さないけれど、あたしを大切にしてくれるヨシ。
優しくて、温かな体温。
重なる唇が震えた時も、はじめて触れ合った夜も、ヨシはいつだってあたしをリードして気遣ってくれていた。
ぶっきらぼうで、照れ屋な翔と、感情をあまり表に出さず落ち着いているヨシ。
2人は対極にいる。