×-カケル-
「由貴くんとうまくいってるみたいね」
学校帰り繭とファーストフード店でガールズトーク。
「うん、ヨシはすごく優しいよ」
氷が溶けて薄くなった烏龍茶が、ストローを通り一気に喉を通っていく。
「何か不満そうだね」
「そんなことないけど」
繭にはお見通しか。
「ヨシのことは好きだよ。だけど……」
こんなこと言ってはいけないのに。
出てしまいそうな言葉を飲み込む。
「翔が好き。でしょ?」
冷えたポテトを口に含みながら、繭は続けて「好きなものはしょうがない」と言った。