茜空
そして
今日もあたしは
この浜辺のベンチに腰掛けて、
沈んでいく夕陽を眺めている。
波打ち際には
小さな男の子と
その両親らしき男女が
遊んでいる。
お父さんは
その男の子を肩車して、
お母さんは、
赤ちゃんをだっこして。
楽しそうに
とてもとても…
幸せそうに。
あたしも――
あの時
素直に謝れていたら…
もしかしたら
あんなふうに…
あんなふうに…
――俺さぁ、
将来ここで
息子とキャッチボールすんの夢なんて――
先輩の言葉が
頭の中で響いた。
先輩。
あの時話してくれた夢は
叶いましたか?
あなたが好きだった
夕焼け
今どこで
見ていますか?