茜空
エースだった和哉先輩は、学校でも結構人気があって――
どうしてあたしに告白してきたのか、未だに謎…なんだけど。
今日も先輩が、あたしを教室まで迎えにきた。
「なぁ香澄、今から海行かね?」
「はっ?
今何月だと思ってんの?
10月も半ば過ぎだよ。
やだよー寒いもん」
あたしが住んでる地方は、この時期はすでに肌寒い。
まして今日は、晴れてはいるが、
海風が強くて。
寒がりのあたし的には、こんな時期に海に行くなんて、ありえない。
でも先輩は、あたしの意見なんか聞いちゃいないといった風に、
「いいっけ行くぞ!」
ってあたしの頭を撫でた。
まぁ、その強引さに惹かれたんだけどね。