茜空
「遠距離になるけど、
必ず帰ってくるから
待ってて欲しい」
「うん…」
あたしと先輩は、手を繋いだまま暫く海岸沿いの道を歩いた。
もう日は傾きかけて、砂浜をオレンジ色に染めてる。
遠くに島影。
その島に向かうのか、島からこっちに向かって来てるのかよく分からないけど、定期船が夕陽を反射してキラキラ。
キラキラきれい。
この海は、あたしたちの思い出の場所。
付き合ってくれって告白してくれたのも、この場所だったね。
初めてのデートも、すぐ近くの水族館だった。
あたしの、生まれて初めてのキスも…。
夕陽は、その度に赤くなってしまうあたしの頬を、オレンジ色で綺麗に隠してくれた。
思い出の…大事な場所だから、
今日も先輩は、ここで大事な事を
打ち明けてくれたんだね。