あめ
あめ
雨。
昨日からずーっと雨。


「このままじゃカビちゃう」
私は冗談でそう言ってみた。
「そうだね……」
ところが忠士は真剣な顔をしてなにやら考え込んでしまった。
「ねぇ、私がカビたらどうする?」
「泣く」
何だか私は嬉しくなった。
「あ、何かもう右足カビてるかも」
冗談でさらにそう言ってみた。
「何だって!」
忠士はそう叫ぶと部屋から出ていってしまった。

変なやつ。

付き合う前から忠士はちょっと他の人とは違っていた。
だから何だか興味が沸いた。
付き合ってからも忠士はちょっと変なやつだった。
それがたまに会うにはちょうど良かった。
でも、まさか結婚するとは思ってなかった。
私は忠士が今まで座っていた場所へと倒れ込んだ。
忠士の温もりが残ってる。
「晴れないかなぁ……」
私は大きな独り言を言いながらしばらくソファーの上でゴロゴロしていた。
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