−つぐない−
1
山部武雄はその日、会社の同僚三人と飲みに行った。
車だったので、付き合い程度と思っていたのだが、つい、盛り上がり、しこたま飲んでしまった。
帰りは、同僚達に、車は止めろと言われたが、皆と別れたあと、愛車カリーラを運転して帰った。
午前1時。
国道0号線は、車はまばらだったが、飲んでいることもあって、スピードを出し過ぎないよう注意して運転していた。
と、左側歩道から、人がふらっと出て来た。
「あっ」
ブレーキを踏んだが間に合わなかった。
ドカッと言う衝撃。
(しまったあ。人を轢いた)
一気に酔いが醒めた。
車を止め、出て行こうとしたが、何かが頭の中で、逃げろと囁いた。
(そうだ、逃げなければ。ばれたら人生終わりだ)
山部は、ドアを閉め、アクセルを踏んだ。
アパートに戻った山部は布団に潜り込んだ。
(何故あの人は出て来たんだ。あれでは絶対轢いてしまう)
震えが止まらなかった。
逃げたのを後悔したが、もう現場に戻る気はなかった。
いつの間にか、外は明るくなっていた。
一睡も出来なかった山部は、車を止めてる駐車場に行ってみた。
駐車場はアパートから、歩いて3分位の所にある。
マジマシと、愛車カリーラを見て回った。
フェンダー、バンパーはへこみ、車幅灯が割れている。
そこへ座り込み、頭を抱えた。
(あー、絶対ばれるー。逃げなければよかった)
しかし逃げた以上は、ばれたくない。
とにかく修理にだそう。
山部は、行きつけの修理屋に車を持っていった。
修理部位は、運転を誤り、路肩の木にぶつけたと偽った。
作業者は、別に疑わなかったようだ。
アパートに帰り、テレビをつけた。
昼のニュースで、山部の事故のことを伝えていた。
「今朝方、国道0号線に男性が倒れているのを通行人が見つけ、通報しました。男性は近所に住む、岩甥忠義さん68歳。岩甥さんは、発見当時、すでに死亡しており、車に轢かれた後があることから、轢き逃げと断定し、捜査を進めて行くもようです」
(そうか、亡くなったのか)
あの時救急車を呼んでいれば、助かっただろうか。
山部も死にたい気分だった。
車だったので、付き合い程度と思っていたのだが、つい、盛り上がり、しこたま飲んでしまった。
帰りは、同僚達に、車は止めろと言われたが、皆と別れたあと、愛車カリーラを運転して帰った。
午前1時。
国道0号線は、車はまばらだったが、飲んでいることもあって、スピードを出し過ぎないよう注意して運転していた。
と、左側歩道から、人がふらっと出て来た。
「あっ」
ブレーキを踏んだが間に合わなかった。
ドカッと言う衝撃。
(しまったあ。人を轢いた)
一気に酔いが醒めた。
車を止め、出て行こうとしたが、何かが頭の中で、逃げろと囁いた。
(そうだ、逃げなければ。ばれたら人生終わりだ)
山部は、ドアを閉め、アクセルを踏んだ。
アパートに戻った山部は布団に潜り込んだ。
(何故あの人は出て来たんだ。あれでは絶対轢いてしまう)
震えが止まらなかった。
逃げたのを後悔したが、もう現場に戻る気はなかった。
いつの間にか、外は明るくなっていた。
一睡も出来なかった山部は、車を止めてる駐車場に行ってみた。
駐車場はアパートから、歩いて3分位の所にある。
マジマシと、愛車カリーラを見て回った。
フェンダー、バンパーはへこみ、車幅灯が割れている。
そこへ座り込み、頭を抱えた。
(あー、絶対ばれるー。逃げなければよかった)
しかし逃げた以上は、ばれたくない。
とにかく修理にだそう。
山部は、行きつけの修理屋に車を持っていった。
修理部位は、運転を誤り、路肩の木にぶつけたと偽った。
作業者は、別に疑わなかったようだ。
アパートに帰り、テレビをつけた。
昼のニュースで、山部の事故のことを伝えていた。
「今朝方、国道0号線に男性が倒れているのを通行人が見つけ、通報しました。男性は近所に住む、岩甥忠義さん68歳。岩甥さんは、発見当時、すでに死亡しており、車に轢かれた後があることから、轢き逃げと断定し、捜査を進めて行くもようです」
(そうか、亡くなったのか)
あの時救急車を呼んでいれば、助かっただろうか。
山部も死にたい気分だった。