枯れゆく大樹~ミドリの日
砕けよ命
だれのための
オオオオ…
ォォォォ…
緑で埋め尽くされた廃墟に、無数の呻き声が木霊している。
壁や柱を呑み込む蔓にはいくつもの顔が浮かぶ。
「た…すけ…て…」
「こ…ろ…してく…れ…」
蔓の顔が、苦痛に満ちた声をあげる。
その中を、二人の男が絡みつこうとする蔓を跳ねのけながら進んでいく。
「かなり侵食が進んでるようだな」
大柄な男が険しい顔で呟く。
「自ら望んで植物人間になった成れの果てが、この有り様か」
「なりたくてなったんだからさ、本望だろうぜ」
小柄な男が吐き捨てる。
地球緑化政策の一環として開発された植物遺伝子移植技術によって、多くの人間は自分の体を大地の一部に作り替えた。
そうした植物人間は食事を必要としなくなり、鋼鉄の要塞と化した星に緑を蘇らせた。
当初、この変化は好意的に受け入れられた。
地球が生き返った。
豊かな恵みが戻った。
そして、我も我もと数知れぬ追随者が殺到した。
ォォォォ…
緑で埋め尽くされた廃墟に、無数の呻き声が木霊している。
壁や柱を呑み込む蔓にはいくつもの顔が浮かぶ。
「た…すけ…て…」
「こ…ろ…してく…れ…」
蔓の顔が、苦痛に満ちた声をあげる。
その中を、二人の男が絡みつこうとする蔓を跳ねのけながら進んでいく。
「かなり侵食が進んでるようだな」
大柄な男が険しい顔で呟く。
「自ら望んで植物人間になった成れの果てが、この有り様か」
「なりたくてなったんだからさ、本望だろうぜ」
小柄な男が吐き捨てる。
地球緑化政策の一環として開発された植物遺伝子移植技術によって、多くの人間は自分の体を大地の一部に作り替えた。
そうした植物人間は食事を必要としなくなり、鋼鉄の要塞と化した星に緑を蘇らせた。
当初、この変化は好意的に受け入れられた。
地球が生き返った。
豊かな恵みが戻った。
そして、我も我もと数知れぬ追随者が殺到した。
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