枯れゆく大樹~ミドリの日
 だが、根本的に異なる遺伝子を組み合わせるのだ。
 破綻が起きたのは当然の帰結といえた。

 植物の遺伝子が人間の遺伝子を書き換え、その体を乗っ取ってしまったのだ。
 そうして自由を奪われた植物人間たちが、大地の囚人となった。

 なまじ植物の因子を身につけたために寿命が格段に伸び、死ぬことすらままならず呻き続けているのだ。
「大好きな地球の一部になれたんだ。めでたしめでたしじゃないか」

 そう言う男の顔には、しかし深い憂いが刻まれている。

「紛い物の緑が蔓延ったせいで、本物の草木が滅びようとしてる。この星そのものが死にかけてるんだ」

「だがなガリエラ、それは彼等だけの罪ではないぞ」
 大柄な男がベルトのホルスターからキーを抜いて、左腕のドライバーに差し込む。

「ブレイクフォース」

 その声に応えるように、ドライバーが作動する。

『エグゾーストファイア』

「俺達が後始末を押しつけられた不条理を、それで納得しろってのかい?ソリスティア」

 ガリエラと呼ばれた男がつまらなそうな顔で言う。
「割りきれる話ではない。ただここに来た以上、我々はやるべきことをやるだけのことだ」

 ソリスティアの突き出した両腕から業火が迸り、一面に広がる植物人間を焼き払う。
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