枯れゆく大樹~ミドリの日
「なんだかんだ言って、こいつらにとっては救済措置なんじゃないのかね」

 燃え落ちる蔓人間が断末魔の声をあげるのに目もくれず、ガリエラは奥に向かう。

「自分で死ぬこともできないこいつらを、星の束縛から解放してやってるだけじゃないか」

 いいながら、右脚のドライバーにキーを差し込む。
「アタックフォース」

『スティールファング』

 ガリエラの脚が、夥しい刃で覆われた装甲を纏う。

「本物の草木が育つために必要な養分を蔓人間が横取りしたせいで、生態系の崩壊が加速したんだ」

 通路を遮る植物人間を蹴散らし、地下道のゲートを開く。

「それなのに、こいつらは何一つ責任もとってない。この星を死に追いやった張本人が、だ」

「彼等だけの罪ではない。我々も、この星を貪ってきたのだから」

 後を追いながら、ソリスティアが諭すように言う。

「いずれにせよ、地球はもうもたない。マザーブレインに保存された遺伝子を脱出させ、種としての人類を存続させるのが我々の今できることだ」


 それにはもう答えず、ガリエラはパッドを操作してホストコンピューターの位置を割り出す。

「ち、一番奥かよ。さっさと片付けようぜ」
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