枯れゆく大樹~ミドリの日

なんのための

 まとわりつく蔓人間を蹴散らし、二人はホストコンピューターに辿り着く。

「いちいち何ヵ所ものホストでパスコードを打ち込まないとマザーブレインにアクセスできないってのは面倒だな」

 ガリエラがコンソールを操作しながら言うと、モニターをチェックしていたソリスティアが振り向く。

「それだけ重要なものだということだ。簡単に侵入されるような警備はしていないだろう」

「そういうもんかね」

  言いながらパスコードを打ち込むと、モニターにメッセージが表示される。

「認証された。あと四ヶ所回ればメインタワーへの通路が解放される」

「まだ四つもあるのか」

 ガリエラが疲れた顔でぼやく。

「こんな調子じゃ、全部解除するまでまだ何ヵ月もかかるぜ」

 頭を掻いていると、

「うおおぁっ」

 物音と共に、ソリスティアの叫び声が聞こえる。

「どうした!」

 咄嗟に振り向くと、壁を突き破って伸びてきた根がソリスティアを捕らえていた。

「こいつ…こいつは本物の木のだ!どうしてこんなところに?」

 ソリスティアは驚愕の声をあげる。

 自然の草木は蔓人間を嫌うようで、同じ場所には繁殖していないのだ。

「変異種?それにしては日の当たらない場所に…」

 少し離れていたため助けに向かおうとすると、

「これでも人間だよ。元々は、ね」

 老人の声がする。
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