枯れゆく大樹~ミドリの日
「誰だ!」

 声が聞こえた方を見やると、崩れた壁の向こうに大木が生えている。

「根を切ってくれないか。もう、私の意志ではどうにもならない」

 よく見ると、幹の上の崩方に顔があるのが辛うじて分かる。

「植物化が進んでいてな。考えることもできなくなってきた」

 老人の声が続ける。

「私はかなり初期に改造されたのでね。植物の特性が強くて、人間の要素が失われてしまったのだ」

「話は後で聞く!」

 ガリエラは声をあげ、ソリスティアを捕らえた根を切り払う。

「はあ…はあ…危なかった…絞め殺されるところだった」

 ソリスティアは深く息をつく。

「そういえば動物とかに巻きついて捕らえる、絞め殺しの木ってのがあるらしいな」

 移植した植物の遺伝子によって、こういうことも起きるのか。

 ガリエラはそんなことを考える。

「…ところで、続けていいかね」
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