MISS YOU
【幻ー13】


そんな悲しみの中
母親はピンときて
静かに立ち上がった。







「きっと……アナタね。

アナタに渡すよう
あの子から頼まれた物があるわ…」







そう言い、
母親は仏壇の戸棚を
あさり始めた。







朋樹が私に渡す物…?







母親が取り出したのは
一枚の手紙であった。







それを千里に渡すと、
仏壇の写真を見ながら
話してくれた。








「あの子の唯一最後の
遺言でね……

「もし、僕を訪ねてきた
女の子がいて、
その場で泣いた人が
いたら、
この手紙を渡してほしい」
…って言われてね。
きっとアナタのことね」







朋樹は、
ワンコが亡くなった後

密かに母親に
これを渡していた。






決して母さんは手紙を
開けないように…


決して、そんな子が
現れなくても、

探してまで
渡さないようにと
念を押され預かった手紙







朋樹の最後の願いなので

言い付けを守り、
大事にとっておいたのだ








そして、
それを涙で濡れた手で
受け取ると
千里は恐る恐る封を開け
手紙を広げてみた…
< 114 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop