MISS YOU
【秋の木枯らしー3】


綺麗な模様の落ち葉達。







一つ一つを重ねて、
作り出すは真紅の道。







風を感じるは
明日への扉。







悲しみにつつまれ、
心は螺旋へと導かれる…







人通りの少ない街の
街路樹を歩き、
朋樹はペンダントを
握り締めていた。








これは千里との思い出の
ペンダント。







全ての思い出を処理した
かのようだったが、

唯一、このペンダント
だけは捨てては
いなかった。







これは千里と初めて
買ったお揃いの
ペンダント。







決して離すわけには
いかない。


今では、
朋樹にとって命より
大事なものだ。







このペンダントは
誰にも見せたことが
ないので、

例え
自分が死んでしまっても
親もカズアキも
気付くことはない。






第一
千里の思い出の物と
他人が気付くようなら
とっくに処分している。








ギュッと握り締め、
それをポケットから出し
見つめる。







「千里…」







遠くでそのペンダントを
確認した「何か」は、

たまらなくなって
朋樹の前に姿を現した
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