MISS YOU
【秋の木枯らしー16】


その日、
遂に精神が耐えきれなく
なったか、
朋樹の体に異変が起きた







高熱を伴う痙攣…


寒くもないのに体が
ガタガタと震えている。







この緊急事態に
両親が駆けつけた。






「朋樹!
しっかりしろ!」







父親がそう言うものの、
朋樹は心の中で
安心しきっていた。







ああ…

やっと楽になれる…

やっと死ねる…と







両親には悪いが、
頑張るつもりはない。







もう、生きてたって
何もならない。






千里のいない世界に
なんの未練もないのだ。







そう思う朋樹であるが、
皮肉にも運命は更に
期待を裏切った。






「これで大丈夫だ…」






ボヤけた頭の中に
病院の先生の声が
伝わった。







残念なことに
熱も痙攣も
無事ひいてしまい、
死ぬことは
できなかったのだ。








「今日はこのまま安泰だ

このまま
眠らせてあげよう」






そう言い、
電気の消える音までも
耳に残っている。







部屋に取り残された
ように、
1人きりになる朋樹…







真っ暗な病室から
窓の外の
輝く星を見上げた。






「千里……」








今まで何度も呟いた
言葉を繰り返し、

そのままゆっくりと、
瞼を閉じたのだった…
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