学園天国
親バカですが、何か?
正直、子供の頃は親が鬱陶しくて仕方なかった。
特に母親。
口うるさいし、勝手に人の部屋入ってくるし、そしたら許可無く何でも見るし…………。
まだまだ不満はたくさんある。
とにかく鬱陶しかった。

でも、自分が親になってみて初めて父さんや母さんの気持ちが分かった。

そう、まさに今も………。

「美和、いいか?車には気を付けるんだぞ?それから不審者にもな。明るいからって油断しちゃ駄目だ。美和は狙われやすいから……。暗くなったら、絶対誰かと一緒に帰って来なさい。それから………」

「お父さん、私大丈夫だよ。ちゃんと分かってるから……」

「でも!!!」

「それに、そろそろ行かないと学校遅れちゃうよ」

「やばい!行ってきます!!とにかく気を付けてね!!」

あー、もうちょっと言い聞かせることあったのに!!
でも美和はしっかりしてるから大丈夫か。
ホント、誰に似たのかな。
やっぱ俺?


家の玄関をすぐに出たところで、顔をにやつかせている男は速水 浩平(はやみ こうへい)。三十七歳。
高校で教師をしている。
見た目は年齢に相応せず、とても若々しい。
二十代と言われても全く違和感が無い。
整った顔立ちは、今まで何人の女性を虜にしてきたのだろう。
教師なので黒髪だが、それが爽やかさをさらに醸し出す。
俗に言うイケメンである。

こんなのが教師とは、なんと素晴らしい。
いやー、私もこういう教師に出会いたかった!!
そうしたら学校生活、お花が舞っていたであろう。


だが、彼には娘がいる。
やはり結婚していたか…。
そう、さっき浩平にしつこく言い聞かされていた美和である。

速水 美和(はやみ みわ)。十五歳。高校一年生。
この春有名進学校に入学したばかりである。
やはり血筋か、相当の美少女だ。
セミロングの輝く黒髪。
それと同じ位にキラキラした大きな瞳。
二重でとてもパッチリしている。
通った鼻筋に、ピンク色の柔らかそうな唇。
浩平があんなに言い聞かせるのも分かる。
男が放っておかないであろう。
一瞬で惚れてしまう。



















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