君だけに伝えたい
友or愛
あたしは、教室のドアを迷うことなく思い切り開いた。
あたしの机には、予想も越えてしまうほどに無残な姿になっていた。
『バカ』
と大きく書かれた机。
トイレ用のバケツから、泥のような液体が流れていた。
あたしは、それを迷うことなく強い目をした。
誰にも負けないように。
泣かないように。
自分で、自分を嫌いにならないように。
強い意志を持って、
その<いじめ>に立ち向かった。
負けるもんか。
こんな奴らに。
そんな想いを胸に一限目の授業が始まった。
あたしは、ペンケースからシャープペンシルを取り出そうとした。
スカッ!!
「え・・・??」
あたしは、驚いて目を疑った。
ペンケースの中には、ペンも消しゴムも何も入っていなかった。
一限目の数学の授業は、何一つ写せぬまま終わってしまった。
そして、次の授業も
そのまた、次の授業も。
何一つ得ることはなかった。
けれども、あたしの一日の学校生活はコレで終わりではない。
「歩ちゃん♪」
その高々な声はいつもと違う。
何かを考えているようだった。
そう、あたしへの新たな作戦を・・・。
絵里の取り巻きたち、
真由、百花、由里。
その三人はいつも一緒だ。
その三人があたしを取り囲む。
なにかを企んだ顔だった。
あたしは、もう先が見えている。
覚悟はもう出来ている。
来るなら、いつでも来い。
あたしには、勝つ自信がある。
そう、絶対に負けないという自信が。
真由は、二重で前髪がそろっている黒髪の女の子。
百花は、口が軽くて茶髪でギャル系な女の子だ。
由里は、真面目な優等生タイプなメガネっ子な女の子だ。
そんな性格の違う三人が
どうして仲がいいみたいに
ずっと一緒にいるのは
おそらく、絵里のせいだろう。
真由が最初に口を開いた。
「歩、知ってる?絵里の好きな人。」
え・・・。
確か・・・・・・・。
そうだった。
そうだったんだ。