君だけに伝えたい
君に伝えたいこと。
あたしへの、おそらく女子(司のファン)からだろうとされる、悪意は一向におさまろうとしないでいた。
これは、ここでいう<イジメ>というものだろう。
「歩?歩、さっきから、変だぞ?」
司が、あたしの顔を覗き込んできた。
あたしは、ドキンとして
一瞬にして、顔をそらした。
「歩、一緒に帰れないのか?」
・・・・・・。
なんて答えればいいのか。
なんて言えばいいのか。
あたしは、分からずにいた。
「・・・。」
あたしは、うつむいて黙ってしまった。
「歩、どうした?」
司が、また困ったような
哀しいような顔をした。
「ごめん。あたし、実は数学の補習で居残りなんだ・・・。」
「そう・・・なんだ?無理矢理誘って悪かった。」
司は方向を変えて、あたしの所から離れていく。
・・・司、謝らないで・・・。
・・・そんな顔しないでよ。
あぁ、あたしのせいだ。
あたしのせい・・・。
全部・・・。
君に伝えることの
出来ないこの感情。
あたしは
君に伝えたかった。
いち早く。
君に。
ただ、
君に好きだって。
言いたかった。