【詩】記憶の持続性
夢先案内
あと二日で満月を迎える月が天に昇る今夜。
狼たちの血もざわめいていることでしょう。
 
ようこそ「天国に一番近い丘」へ
「泥水の中に佇む男」と申します。
 
ご覧なさい。
もうすぐ今月二度目の満月なのです。
ご存知ですか?
 
ほう?
ひと月に二度も満月は来ないと?
 
あなたは本気でそんなことを信じているのですか?
ああ、お気を悪くなさらずに。
 
しかし目に見える世界だけが世界ではありません。
 
眠りに落ちる時
暗い部屋に何かの存在を感じたことはありませんか?
夜、道を歩いていて
後ろから何かの気配を感じたことは?
風の強い日
木々のざわめきに心が落ち着かないと感じたことは? 
 
そう、それはいつもあなた方の側に存在するのです。
あなた方が気付いていないだけなのです。
それとも、自分達とは違う何か異質なものを感じて
その存在を認めたくないのでしょうか。
 
ほんの少しだけ
目を凝らしてみてください。
拡がる闇と溢れる光に。
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