【詩】記憶の持続性
幻視者の夢
そう 例えばこんな夢を見る
眩い光に包まれて蒼く深い空に沈んでいく
細かな粒子が身体の中を駆け巡る
何もかも透き通り、ある場所へと行き着いていく…
 
そう 例えばこんな夢を見る
辺りは一面の暗闇で、見えるものなど何もない
闇の奥から聞こえてくるのは血腥(なまぐさ)い息遣いだけ
それを頼りに歩き続けた先はある場所へと行き着いていく…
 
そう 必ず夢の最後には同じ場所に辿り着く
けれどどうしても思い出せない
それがどんな場所なのかを 
 
始めはただその場所が知りたかった
何かが隠されているような気がしたから
 
けれど今は少し違う考えがあるんだ
 
「もしかしたら知らないままでいいのかもしれない」
最後の最後に嫌でも知る時が来るだろうから
 
 
 
風のざわめく中で
今宵も幻視者(かれ)は夢を見る
精神の均衡を崩さぬように
少しずつ、着実に
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