【詩】記憶の持続性
ほどける糸
すべてはこの時に向かっていた
 
謎が謎を呼び、錯綜していた一本の糸が
ひとつの場所に向かっていく
 
その果てには、隠し切れない悲しみもあるかもしれない
救いようのない絶望もあるかもしれない
臓腑(はらわた)を刔り出すような憎悪もあるかもしれない
 
それでも ほどけ始めた糸は
ひとつの場所へと向かう運命
 
そこには悲しみも絶望も憎悪もすべて内包した『真実』がある
誰にも覆せぬ『真実』が… 
 
でも、どうか嘆かないで
どうか消滅を願わないで
 
ほどける糸の果ての、さらにその果てに
救いはあるはずだから
 
悪夢を越えて『真実』となれ
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