ワ ス レ ナ グ サ 。
俺は一回、家に帰ってちゃんと準備すると、家を出た。
そして、京香の家の前に行った。
いつ頃帰ってくるのかわからない。
でも俺は、諦めずに京香を待った。
『あれ、和也くん…?』
『え…、』
振り向くと、京香のお母さん。
『どうして和也くんがここにいるの?』
『なんでですか?』
『だって京香、今日は和也くんとデートだって言ってたのよ…?』
え…?
俺と、デート?
『あ、じゃあ家の中で待っとく?』
『あ、えっと…』
『入って入って♪おばさん今から友達と映画なのよ。だから悪いけど、一人でいてね。』
そう言うと、京香のお母さんは俺を京香の部屋に押し込んで、そそくさと行ってしまった。
しょうがないから、俺は京香の部屋でじっとしていることにした。
俺は、京香の部屋に入るのは初めてではない。
『もう、俺のこと嫌いなのかな…。』
前に部屋に来たとき、京香の部屋には俺と写った写真がたくさん飾ってあった。
でも、なんで…?
いま、俺との写真なんて、一枚も飾られていない。
からっぽになった寂しい写真たて。
それを見ると、俺は泣きそうになった。
よく見ると、京香の部屋は、俺との思い出の品が全部なくなっていた。
『なんでだよ…。』
俺を、忘れたいってこと…?
俺は、もう京香の部屋にいるのが辛くて。
京香が帰ってくるのを待たずに、自分の家に帰った。