ワ ス レ ナ グ サ 。



『…和也くん…。』



泣きじゃくる俺に、

京香のお母さんは一枚の手紙を渡した。


『…京香からよ。』


『俺に…?』


俺は、封筒を破いて、手紙を読んだ。




涙は、もういいだろうというくらいに流れた。


でも、涙は枯れることはなくて。


次から次へと、流れ出ていくんだ。






>>和也へ。

和也がこの手紙を読んでるってことは、私はきっと、もう死んじゃってるんだろうな…。
和也に、言いたいことが三つあります。
一つは、“ごめんね。”
酷いこと言ってごめんなさい。
私が、和也を嫌うわけがないよ。
出会わなければよかったなんて嘘だよ。
本当にごめんね、和也。
二つ目は、“ありがとう。”
ずっとそばにいてくれてありがとう。
寂しいとき、慰めてくれてありがとう。
すっごい心強かったよ?
いつまでも、感謝してます。
三つ目は、“大好きだったよ。”
誰も入る隙間がないくらい、私は和也が大好きでした。
愛してました。
今までも、これからもずっと愛し続けると思う。
でも和也は、私を忘れて、新しい恋をして下さい。
それじゃあ…。
自分の人生を、しっかりと生き抜いて下さい。
私のこと、忘れてね…?
>>京香より。







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