ワ ス レ ナ グ サ 。
好き..*
プルル..プルル..
ワンコール、ツーコール。
電話の呼び出し音が鳴る。
ガチャッ。
キミが通話ボタンを押す音が聞こえて、
同時にキミの愛しい声がした。
《もしもし…?》
『あ、京香?俺。』
《あたしのケータイにかけたんだから、あたしに決まってるでしょ(笑)》
『だな(笑)』
《で、どうかしたの?》
『…いまから会える?』
《うんっ!!》
笑顔で答えるキミの顔が浮かんで
俺まで、笑顔になった。
『じゃあ、いつもの場所で待ってる』
そう言って、俺は電話を切った。
―10分後。
もう辺りはすっかり暗くなっている。
PM8:00…。
きっといま頃、家ではテレビでも見てバカ笑いしてるんだろうな。
『っ、和也ーっ!!』
遠くから走ってくる、俺の大事な奴。
『ぁいたっ!!』
ズテンッ!!
『…あ、』
はしゃぎすぎて、何にもない所でコケてる。
『大丈夫かよ~っ』
俺は焦りながら、笑いを堪えた。
そして、京香に近づく。
『…和也。笑ったでしょ』
『いやっ、笑ってないって…ハハッ、』
笑ってんじゃんーって京香は拗ねて、俺の肩を叩いた。
『もうっ…』
『マジごめんって(笑)』
京香は、そのままコンクリートの上に寝転がる。
俺も、京香の横に寝転がった。
ここは小さなビルの屋上。
俺ら二人しか知らない場所。
秘密基地にいるみたいで、俺はそれだけで幸せな気分だった。