ワ ス レ ナ グ サ 。
京香と会わなくなって1日目。
『ダリぃ…』
京香がいなければ、何もやる気が起こらない。
『つまんねー…』
『なに、どうかしたの?』
『…は?』
話しかけてきたのは、友達のユリコ。
ユリコは、俺のことが好きだと噂になっているが、ユリコは何も言ってこないため、俺は気にしてない。
『和也、元気ないじゃん。なにかあった?』
『あ、いや…』
『あ、もしや…。京香ちゃん!?』
なぜ女といういきものは、こういうとき、こんなにも勘が鋭いのか。
俺は、不思議でたまらない。
『おまえ、好きな花なに?』
『へ?なに急に』
『いいから。』
『んー、やっぱ百合かな。名前に入ってるしぃ(笑)』
やっぱりユリコは、京香とは全く違う。
って…、ユリコと京香を比べる俺も俺か。
第一、見た目から全然違うんだから。
ユリコは茶髪のちょっとウェーブがかった長い髪。
その点、京香は黒髪のサラサラショートボブ。
ユリコはジャラジャラのアクセサリーなんかつけてるけど、
京香はネックレスやピアスくらい。
『やっぱ、おまえ違うわ。』
『…なにが?』
『なんでもない…』
俺は、不思議がるユリコを置いて、教室から出た。
いや、出ようとした。
『待ってよ。』
『な…っ、』
ユリコは、俺の制服の裾を掴んで離さない。
『京香ちゃんとなにか…あったんでしょ?』
『ないって…』
ユリコの勘違いだ。
『嘘つき。』
『もう離せよ…』
いい加減うざくなってきた俺は、ユリコの手を振り払って歩きだそうとした。
『待ってってば!!』
『なんでだよ!!』
そう言い、振り向いた瞬間…
唇に、甘いものが触れた。
『私、和也が好きなの。京香ちゃんなんかより、私の方がずっといいと思う。』