彼は年下の男の子


しばらくの間 沈黙が続いた。




「お前には 分かるか?
この子がどれだけ 心細かったか」


うん?この子って
私のこと?


「母さんが お前と雅也を産むとき
わしに 『何もしなくてもいいから 側に居て!
側に居てくれたら 落ち着くから』
って 言ってたんだ
お前は その時 何してた?
学校行って 呑気な生活してただろ!」


「それは…知らなかったし」


「知ってたらどうしてた?
この子が 妊娠したと お前に言ってたら
お前はどうしてた?」


「知ってたら…・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
もちろん 産んでくれ!と言ってた
親父に頭下げて 協力してもらって
取り合えず 高校は卒業して
働いてたと思う」


「そっか…」


急に お父さんの表情が
変わった気がする。








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