言葉にできない想い。
「あ、あのさ。」

「何??」

「写真の中にいた人って誰??」

あの時見た、あの写真。

その時の笑顔が目に焼き付いてしまった。

離れなくなった。

「見たの??」

少し険しそうな顔で、あたしを見た。

「ごめんね…。見た。」

「そっか。」

そう言って、また悲しそうな目をした。

「俺の、幼馴染で、初恋の人だった。けど…死んだ。」

深呼吸をしながら、言った羽田君の目から

涙がこぼれた。

―初恋の人が死んだ。

真実が重すぎた。

あたしは、その場に立ちつくしてしまった。

12歳の少年の重すぎる真実。

あたしは、どうやってその真実を軽くできるのだろう。

…たったの12歳で。
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