私こそ光る☆君 ~体育祭編~
「……つもり……か……だ」


「でも……たら……でしょ!?☆」



壁の向こう側から何かもめているような声が伝わってきたけれど、今の私はそれに関心を示すことはない。



走馬灯のように頭の中を過(よ)ぎるのは、この約半年間の楽しかった思い出。

幸福な思い出というものは現状が悲惨であればあるほど、そしてその思い出が幸福なものであればあるほど思い出す者を苦しめる。

言わば優しい毒なのだ。


どうしよう……。

よけい泣きたくなってきちゃったよ!!


……キィ。


頭(こうべ)を垂れていると、先ほど自分が出てきた扉がゆっくりと開く音がした。


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