私こそ光る☆君 ~体育祭編~
「それでは位置について、用意、スタート!!」
掛け声に従って由依は元気よく走り出した。
持ち前の器用さと身軽さを利用し、由依は次々と障害物をクリアしていく。
そんな様子を私は後ろから祈るように見守っていた。
どうかこのまま何事もなく由依がゴールできますように。
最後のハードルも軽快なリズムで難なく飛び越え、いよいよ障害物も残すところあと1つとなった。
それまで圧倒的な速さで首位を独走していた由依は、この最後のトラップにも勢いに任せてつっこむかと思われた。
しかし、由依がとった行動は意外なものだった。
ファンの手前数メートルの位置で足を止めたのだ。
えっ?
いったい何を考えてるの?
あれじゃすぐ捕まっちゃうよ!!
心の中でそう叫んだ時だった。