【短編】シャーペン
「俺も茜が…友達には見えない」
それって…
「茜が好きだ…」
素直に嬉しかった。
本当に嬉しかった。
ただ、嬉しかった。
幸せだった。
涙が込み上げてくるのがわかった。
勘違いしないでね?
これは嬉し涙だからね?
「泣くなって…」
波留は私の頬を撫でながら言った。
「嬉し…涙…だも…ん」
「わかってる」
私はシャーペンをくれた波留に恋をした。
波留は私に恋をしてシャーペンをくれた。
私達の運命の赤い糸は、赤色のシャーペンだったのかも……
シャーペンが引き合わせてくれた恋。
私は今日もシャーペンをくれた彼に恋をしている。
『シャーペン』END