【短編】シャーペン
あれは、蝉がまだうるさい頃だったかな…
「自習にしますから、このプリントをこの時間に仕上げてください」
先生はプリントを三枚配るとそそくさと教室から出て行った。
私のクラスは意外に真面目が多く、プリントをちゃんとしていた。
「プリントが終わったら騒ごう」みんなそんな考えでいた。
私と波留もそのうちの一人で・・・
でも、意外にプリント三枚はキツかった。
一生懸命やっていて、だんだん手が痛くなってきたんだ。
みんなも一回は経験あるでしょ?
文字の書きすぎで手が痛くなること。
そんな時に、
「ほら…」
波留の手が視界に入って来たんだ。